時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~
「いらっしゃいませ」
ペコリと頭を下げた一花は、キラキラと光る簪たちを見て同じくらい目をキラキラさせた。
「お嬢さんには、こんなんはどうでしょう?」
お店の人が見せてきたのは、小花が彫られた小さな櫛と同じデサインの小さな手鏡だった。
『綺麗ですねぇ。でも、いま持ち合わせがなくて。あの取り置きって出ますかね?』
思いの外気に入ってしまった一花は、店の人に交渉する。あ、そういえば給料とかもらえるのか私。
考えてこんでいるとチャリんと小銭の音が聞こえた。
「ありがとうござしました。これはおまけね」
手渡されたのは、さっきの交渉していた櫛たちと、それをいれるための巾着。
「まぁ、なんというか歓迎の印。大事にしてね」
お金を支払ってくれた沖田に、一花は完全にフリーズしていたが、しばらくして状況を飲み込むことができた。
『ありがとうございます‼し、出世払いします‼』
「いや、贈り物だから……まぁ、いいか出世払いね」
『はい‼本当にありがとうございます‼』
花が咲いたように笑う一花に、沖田は頬を赤らめた。