時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~
――ゴーーン、ゴーーン。
時間を告げる鉦が聞こえた。沖田は、鐘の音を聞くと一花の手を握った。
「まだ時間もあるし、ねぇいいかな??行きたい場所があるんだ」
『行きたい場所??』
首をかしげる一花に、いいからいいからと沖田は手をひいた。
「ありがとうございやした!!」
おじさんの声を背に、鏡が入った巾着袋を懐へしまった。
大事にしよう!!
数分歩いて到着したのは、甘味屋だった。店の前に立つと、ほんのりと甘い香りがする。沖田は店の中に入ると席に着いた。
「何か食べたいものある??あ、甘いもの嫌い??」
『大好物です』
キラリと瞳を光らせ、お品書きに視線を落とした。
「いらっしゃい。おや旦那、今日は別嬪さんと一緒なのかい??」
店の奥からやって来た中年の女性は、笑みを浮かべながらお茶を二つ机に置いた。