時空を飛び越えました~私の知ってる新撰組ではないようです~



――ゴーーン、ゴーーン。



時間を告げる鉦が聞こえた。沖田は、鐘の音を聞くと一花の手を握った。



「まだ時間もあるし、ねぇいいかな??行きたい場所があるんだ」



『行きたい場所??』



首をかしげる一花に、いいからいいからと沖田は手をひいた。



「ありがとうございやした!!」


おじさんの声を背に、鏡が入った巾着袋を懐へしまった。


大事にしよう!!


数分歩いて到着したのは、甘味屋だった。店の前に立つと、ほんのりと甘い香りがする。沖田は店の中に入ると席に着いた。


「何か食べたいものある??あ、甘いもの嫌い??」


『大好物です』


キラリと瞳を光らせ、お品書きに視線を落とした。


「いらっしゃい。おや旦那、今日は別嬪さんと一緒なのかい??」


店の奥からやって来た中年の女性は、笑みを浮かべながらお茶を二つ机に置いた。



< 75 / 84 >

この作品をシェア

pagetop