先輩、一億円で私と付き合って下さい!
それを跳ね除けて俺は叫んだ。
「全てを手にしてねぇーよ。うるさい!」
邪険に扱っても、江藤は全く堪えない。
嫉妬丸出しであっても、あっけらかんとして、憎めない事を俺もよく知ってる。
だが、全てを手にしていると言われると、どうしてもセイの環境の事を思い出し、俺の心の内は複雑になる。
まだプライドがある分、俺は平然と装うが、自分の境遇が恵まれているとはどうしても思えず、満足できないで悶々としていた。
「おまえさ、まだ進路を決めてないんだろ。これだけ結果出しておいて、なんで大学行こうとしないんだよ」
「だから余計なお世話だろ」
進学の事で担任はヤキモキし、三者面談の日取りを持ちかけるが、母の仕事が忙しい事を理由に先延ばしにしている。
担任は納得いかない顔をしながらも、俺の家庭の事情を知ってるから無理に時間を作れとも言い切れない。
仕方なく、俺が受けられる大学の名を勝手に挙げては、勝手に進学で進めている。
俺がどこかで考え直すと思い込んでいた。
そうすれば俺は意味もなく意地を張るだけだった。
俺が頑なに就職と言い切るので、俺の知らない所で担任はしびれを切らして母に電話をしたのだろう。
ある日、母から真剣な眼差しを向けられ、進路の事について真面目に訊かれた。
「全てを手にしてねぇーよ。うるさい!」
邪険に扱っても、江藤は全く堪えない。
嫉妬丸出しであっても、あっけらかんとして、憎めない事を俺もよく知ってる。
だが、全てを手にしていると言われると、どうしてもセイの環境の事を思い出し、俺の心の内は複雑になる。
まだプライドがある分、俺は平然と装うが、自分の境遇が恵まれているとはどうしても思えず、満足できないで悶々としていた。
「おまえさ、まだ進路を決めてないんだろ。これだけ結果出しておいて、なんで大学行こうとしないんだよ」
「だから余計なお世話だろ」
進学の事で担任はヤキモキし、三者面談の日取りを持ちかけるが、母の仕事が忙しい事を理由に先延ばしにしている。
担任は納得いかない顔をしながらも、俺の家庭の事情を知ってるから無理に時間を作れとも言い切れない。
仕方なく、俺が受けられる大学の名を勝手に挙げては、勝手に進学で進めている。
俺がどこかで考え直すと思い込んでいた。
そうすれば俺は意味もなく意地を張るだけだった。
俺が頑なに就職と言い切るので、俺の知らない所で担任はしびれを切らして母に電話をしたのだろう。
ある日、母から真剣な眼差しを向けられ、進路の事について真面目に訊かれた。