先輩、一億円で私と付き合って下さい!

 中間テストが終わり、結果が返ってきた頃、雨が本格化して、鬱陶しい天気が続く。
 テストは、乱されることなくいい結果を残せたが、あくまでも学校のテストだから範囲が決まっている限り、俺には楽勝だった。

 ゴールデンウィーク中の休みの時、セイに教えながら、切羽詰まって自分の勉強にいつも以上に集中したので、結局は功を奏して覚えが早かった。

 そのセイも俺の教え方がよかったのか、テストのヤマが当たったのか、その後も必死で勉強をし続けたお陰なのか、なんとかベストを尽くしてギリギリ上位に滑り込んだらしい。

 それが自信に繋がって期末もこの調子で頑張ると、急にやる気が出て勉強が苦にならなくなったと大げさにノゾミに報告したそうだ。
 
 それをノゾミから聞いた時は、俺も達成感を得られたように嬉しくなったもんだった。
 俺もうかうかしてられない。

 学校の成績は問題ないとしても、医学部を目指すとなれば、それ以上にもっと高見を目指さないとこれではまだまだなレベルだと思っている。

 受験しないと言っておきながら、俺は結局そういう事を視野に入れてしまう。
 一体俺はどうしたいのか。
 何が一番の問題であるのか。
 それを考えるとわからなくなってしまった。

 溜息がつい漏れてしまう。
 そんな時、後ろから腕が絡んで来て、俺の首を絞めつける奴がいた。

「天見はまた学年一番か! この野郎」
 江藤が休み時間、俺にタックルをしかけてきた。

「おい、やめろって。苦しいだろ」
「見かけも最高、頭も最高。全てを手にしやがって、悔しいぜ。この、この!」

 頭をぐりぐりとされてしまう。
< 102 / 165 >

この作品をシェア

pagetop