先輩、一億円で私と付き合って下さい!
2
期末テストが終わり、そして梅雨もとうとう明けた。
太陽も真上からギラギラと照りつけて、一気に暑さが増してきた。
セミの声もあちこちからうるさく聞こえ、本格的な夏を感じる。
テスト最終日が終わって、半日で帰れるこの日、俺はノゾミに会いに彼女の教室まで足を運んだ。
だがノゾミはすでに帰った後だと知って、俺はレスポワールまで追いかけてしまった。
家の玄関と店の入り口は違うだろうに、俺はついつい店の方へ入ってしまった。
ドアを開ければ、甘い香りを仄かに感じた。
カウンター内で仕事をしている若い女性が一人いるだけで、お客は誰もいない。
「いらっしゃいませ」とその女性に声を掛けられ、俺はもじもじとしてしまう。
「あの、叶谷希望さんはご在宅でしょうか」
「あっ、ノゾミちゃんのお友達? ちょっと待ってね」
その女性は奥に引っ込んで
「オーナー、ノゾミちゃん帰ってきましたか?」
と叫んでいた。
「いや、まだじゃないかな。どうしたんだい?」
「お友達がいらっしゃってるんです」
まさかここで、ノゾミの父親が出てくるとは思わなかった。
俺を見て、ハッとしたあと、「こんにちは」と慌てて頭を下げたので、俺もお辞儀を返した。
「ま、まだ帰ってきてないんですけど、何か御用ですか」
おどおどしながらも、父親らしく理由が知りたいと、無理して訊いてくる。
「いえ、その、ちょっと近くまできたもので、特にこれといった用事は」
「すみませんね、わざわざ来て頂いたのに。よかったら帰って来るまでそちらの席でケーキでも食べて待ってて下さい。すぐ帰ってくると思うんですけど」
「いえいえ、そんな、また来ますので」
「遠慮なさらずに。それともお食事をお出しした方がいいかもしれませんね。お昼ですもんね」
「いえ、け、結構です」
期末テストが終わり、そして梅雨もとうとう明けた。
太陽も真上からギラギラと照りつけて、一気に暑さが増してきた。
セミの声もあちこちからうるさく聞こえ、本格的な夏を感じる。
テスト最終日が終わって、半日で帰れるこの日、俺はノゾミに会いに彼女の教室まで足を運んだ。
だがノゾミはすでに帰った後だと知って、俺はレスポワールまで追いかけてしまった。
家の玄関と店の入り口は違うだろうに、俺はついつい店の方へ入ってしまった。
ドアを開ければ、甘い香りを仄かに感じた。
カウンター内で仕事をしている若い女性が一人いるだけで、お客は誰もいない。
「いらっしゃいませ」とその女性に声を掛けられ、俺はもじもじとしてしまう。
「あの、叶谷希望さんはご在宅でしょうか」
「あっ、ノゾミちゃんのお友達? ちょっと待ってね」
その女性は奥に引っ込んで
「オーナー、ノゾミちゃん帰ってきましたか?」
と叫んでいた。
「いや、まだじゃないかな。どうしたんだい?」
「お友達がいらっしゃってるんです」
まさかここで、ノゾミの父親が出てくるとは思わなかった。
俺を見て、ハッとしたあと、「こんにちは」と慌てて頭を下げたので、俺もお辞儀を返した。
「ま、まだ帰ってきてないんですけど、何か御用ですか」
おどおどしながらも、父親らしく理由が知りたいと、無理して訊いてくる。
「いえ、その、ちょっと近くまできたもので、特にこれといった用事は」
「すみませんね、わざわざ来て頂いたのに。よかったら帰って来るまでそちらの席でケーキでも食べて待ってて下さい。すぐ帰ってくると思うんですけど」
「いえいえ、そんな、また来ますので」
「遠慮なさらずに。それともお食事をお出しした方がいいかもしれませんね。お昼ですもんね」
「いえ、け、結構です」