バックハグは恋の始まり!?

朝の挨拶から、今まで以上に柴崎くんのことを警戒して目で追っている自分がいた。

でも朝の突然の出来事以降は特に何も起こらなくて、朝の挨拶以外は普通だと安心していたけど、そうではなかった。


私はお昼は基本的に仲のいい同期とご飯を食べている。

もちろん、そのグループの中には柴崎くんもいる。

今までは私の横には総務課で働いている一花が座っていたのになぜか気づいた時には柴崎くんが隣に座っていた。

いつも一花と私の女子ふたりと営業部で働いてる男子の2人+柴崎くんで食べていたけど、私の隣に彼が座ることなんてなかった。

女子2人がが座った反対側に男子たちが座る、特に決めた訳では無いけど当たり前のようになっていた。

なのに平然と私の隣に腰を下ろした彼。

他の同期たちも何を言うでもなく、お昼ご飯を食べ始めた。
まるでいつも通りの席だと言うように。

そんな周囲とは対照的に私はプチパニックだ。

今までなら、隣に彼が座っただけでそんなに慌てることはなかった。

でも、金曜日に告白されてからは柴崎くんは要注意人物になっていて、なんらかの意図を感じてしまう。

いつも私の隣に座っている一花は今は私の目の前の席に座ってランチを食べている。

そして、いつものようにくだらない会話をみんなで始めている。


私はついに痺れを切らして、みんなの会話を遮り「なんで柴崎くんが隣なの?」と疑問を口にした。

しかし、みんなの反応は「そんな細かいこと気にしなくていいじゃん」という軽いもの。

なんだか誤魔化されている気しかしなくて、嘘をついたりするのが苦手な一花に理由を教えてもらおうとした。

でも一花にも「今日は花奈の目の前に座りたい気分だったんだぁ」と可愛く誤魔化されてしまい、これ以上問い詰める気力も失せてしまった。

柴崎くんは終始無言で私の様子を見ていたが、ついには諦めた様子の私に満足そうに話しかけてきた。

内容は「オムライスおいしい?」という当たり障りないもの。

無視するのも気が引けて、「おいしいよ」と不満げにに返す。

私から返事をもらったことに満足したのか、その後は柴崎くんも黙々とと食事を勧めていた。










< 12 / 22 >

この作品をシェア

pagetop