桜ヶ丘物語
「こっぴどく振られたからって八つ当たりは止してくれないかなぁ。

百戦練磨の俊也が相手にされないなんて確かに珍しい事だけど、俺からすれば俊也なんてちょっと顔がいい以外は、そこら辺に転がってる馬鹿と同じ。

どこに惹かれるのかずっと不思議だったし、俊也なんかに熱を上げる女の子達の神経が分からなかったんだよね。

棄てられて泣く姿を見かけるる度に、『なんて愚かなんだろう』ってこっちが絶望しかけたくらいさ。

それに比べて斉藤さんは流石だよ。
お前がいかに駄目男か瞬時に見抜いて相手にしなかったんだからさ。」


三谷の頬がぴくぴくと引き攣っている。

それに気が付かないはずないのに、なおも聡は言葉を紡いだ。




「ご愁傷様。」



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