6人目
身構える狂史郎。

「ま、待って下さい!私は貴方に敵対するつもりはありません!」

「信用できねぇな」

狂史郎はセシルを睨んだ。

「真祖セシル・カイルと言えば、滅びの6人の1人にも数えられる…それを敵対するつもりがないだと?」

「……」

セシルは無言で頷いた。

「私は、調息使い達の監視下にあります。無闇に出歩けば、逃亡と見做して散滅させられますから」

数千年前にチベットを発祥として東洋の仙道に伝わった秘術の1つ『調息法』。

独特の『呼吸法』により血液中のエネルギーを練り上げ、肉体の末端部に蓄積して叩き付ける。

仙人は霞を食べて生きているという説の由来となった技術。

治癒に使ったり、普通の攻撃では倒せない化け物や人外を浄化させる事ができる。

その効果は『天使の力(テレズマ)』と同等とされており、太古より退魔、祓魔の術として東洋では秘伝とされてきた。

非科学的な技術のようだが、魔術や魔法とは違う、れっきとした技法の1つだ。

この世界には存在しない、並行世界に存在する技術である。

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