6人目
南条家は、降霊術で栄えてきた一族。

死霊、生霊、神仏などの霊体を自らの体に乗り移らせて、その言葉を語らせる降霊術の一種とされ、霊能者や巫女が行う事が多い。

青森県のイタコが有名であるが、特定の地域だけでなく全国的に存在し、地方によってアガタ、アリマサ、イタコ、インヂコ、大弓、オカミン、カミサマ、座下し(くらおろし)、笹ハタキ、信濃巫、タタキミコ、ミコ、盲女僧、モリコ、ワカ、等と呼ばれる。

口寄せにも幾つか種類があり、神霊に伺いをたてるものが神口(カミクチ)、死者の言葉を伝えるものが仏口(ホトケクチ)という。

また、生きている者や葬儀の終わっていない死者の霊に対しての口寄せを生口(イキクチ)、葬儀が終わった死者に対しての口寄せを死口(シニクチ)という。

大抵は得意先が存在し、ある特定のコミュニティにのみ依頼されている。

その為、普通は歩き巫女と呼ばれるように、決まった住居を持たず放浪していたが、越後の万日と呼ばれる口寄せが、被災地、戦場跡に居住し死者の供養をしているように、定住するものもいる。

南条家は後者。

この稲荷山に定住して、既に数百年が経過している。

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