6人目
その南条家の敷地内。

一家の次男坊である南条 狂史郎は10歳。

祖父や祖母から降霊術の手解きを受けるも、なかなかその術は上達せず。

やはり家督は長男に継がせるべきと、祖父達は溜息をついている。

だが、狂史郎はそれが面白くない。

兄ばかりが両親はおろか、祖父母にも誉められ、何故自分は誉めてもらえないのか。

もっと上手く出来る筈。

兄よりも自分の方が上手いんだ。

うんと上手に術をこなせる筈。

…それは、家に伝わる『術』の意味も知らぬ幼子の、ただの意地の張り合い。

うんと上手に術をこなせる事が、どのような結果を招く事か知りもせずに。

知りもしないからこそ、狂史郎は敷地内にある大きな蔵の中に無断で忍び込み…それを見つけてしまった。

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