6人目
「高天原に神留まり坐す。
皇が親神漏岐神漏美の命以て八百万神等を。
神集へに集へ給ひ。
神議りに議り給ひて。
我が皇御孫命は。 
豊葦原瑞穂国を安国と平けく知食せと事依さし奉りき。
此く依さし奉りし。
国中に。
荒振神等をば神問はしに問はし給ひ。
神掃へに掃へ給ひて。
語問ひし磐根樹根立草の片葉をも語止めて。
天の磐座放ち天の八重雲を伊頭の千別に千別て。
天降し依さし奉りき。
此く依さし奉りし。
四方の国中と。
大倭日高見の国を。
安国と定め奉りて下津磐根に宮柱太敷き立て。
高天原に千木高知りて皇御孫命の瑞の御殿仕へ奉りて天の御蔭日の御蔭と隠り坐して安国と平けく知食さむ国中に成り出む。
天の益人等が過ち犯しけむ。
種種の罪事は天津罪国津罪許許太久の罪出む此く出ば。
天津宮事以ちて天津金木を本打ち切り末打ち断て。 
千座の置座に置足はして天津菅麻を本刈り断ち末刈り切りて八針に取裂きて天津祝詞の太祝詞事を宣れ。
此く宣らば。
天津神は。
天の磐戸を押披きて天の八重雲を。
伊頭の千別に。
千別て。
聞食さむ国津神は。
高山の末低山の末に登り坐て。
高山の伊褒理低山の伊褒理を掻き別けて。
聞食さむ。
此く聞食しては。
罪と言ふ罪は在らじと科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く。
朝の御霧。
夕の御霧を。
朝風夕風の吹き掃ふ事の如く大津辺に居る大船を。
舳解き放ち。
艪解き放ちて。
大海原に押し放つ事の如く彼方の繁木が本を。
焼鎌の利鎌以て打ち掃ふ事の如く遺る罪は在らじと。
祓へ給ひ清め給ふ事を。
高山の末。
低山の末より。
佐久那太理に落ち多岐つ。
早川の瀬に坐す。
瀬織津比売と伝ふ神。
大海原に持出でなむ。 
此く持ち出で往なば荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百曾に坐す。
速開都比売と伝ふ神。 
持ち加加呑みてむ。
此く加加呑みては気吹戸に坐す気吹戸主と伝ふ神。
根国底国に気吹放ちてむ。
此く気吹放ちては根国底国に坐す。
速佐須良比売と伝ふ神。
持ち佐須良比失ひてむ此く佐須良比失ひては。
今日より始めて罪と伝ふ罪は在らじと。
今日の夕日の降の大祓に祓へ給ひ清め給ふ事を諸々聞食せと宣る」

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