S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


「あれ?おかしいな。この第二音楽室はSSランクの人間か特定の生徒しか入れないんだけど……」


「それなら、先生が弾いてるとか?」



私と火神さんはその繊細な音色に誘われるように部屋の中を覗き込んだ。


白ではなく青いブレザーを着た、少し緩いウェーブの黒髪男子がピアノを弾いていた。



「あっ!あの男子、わたし達と同じクラスだ」


「た……確かに、言われてみればいたような気もするけど」



誰かと喋ってるとこなんか見たことがないし、なんていうか……何事にも無気力な感じっていう印象しかない。


失礼なことを思っていたら美しいピアノの音色が止まった。


ぱっと顔を上げた男子と目が合う。



────ガラッ!



あっ、と思っているうちにその男子がこちらまでやってきてドアを開けた。


やばっ、覗いてるのが見つかった!!

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