S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。
盆栽から顔を出してみれば、廊下の真ん中に椿と黒崎さんが立っていた。
「これ、蒼ノ月の盆栽だろ?中等部ん時にこれでもかってくらい見せられた」
「そ、そうなの!?これは朝、机に置いてあって……」
「自分が手がけた盆栽は恋におちた女に捧げるとか言ってたけど、そういうこと?」
「へ!?」
恋……?
「人のもんになにしてくれてんだよ、アイツ」
椿が私の手からヒョイッと盆栽を奪った。
「こんなものお前に触らせとくなんて、俺の気がおかしくなる」
はぁっ……と溜め息をつきながら不服そうな顔をしている。
それなのに、どうしてだろう。
「今すぐ捨ててやりたい」
そんな椿の顔を見て今私は心から安心してる。
胸の奥がキュッと音を奏でて、頬がじわじわ熱くなっていくこの気持ちは、幼なじみとしてじゃない感じがして───。