S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


「火神さ、アイツいっつもお前のことばっかり話しんだぞ?」


「え?」


「ローランドから評価もらった時も俺にいちいち報告してくんの。自分のことでもねぇってのに、バカほど嬉しそうにな?星ノ宮にレッスンしてもらうって時もそうだ。"可愛い明里に手を出したら、どう落とし前つけてもらおう"なんて言っててさ?」



思い出したようにケラケラ笑う戸澤くんの隣で、私は涙腺が緩み唇を噛んで堪えていた。


火神さんがそんな風に私のことを話していたなんて知らなかった……。



「マナーレッスンの時だってずっと"頑張れ明里っ!"て、念仏なみに唱えてるし」



そんな嬉しいことがあっていいんだろうか……。


だーっと涙が滝のように溢れそうになる。


私の挑戦を聞いたら、きっとここのお嬢様達は無謀だとか身の程知らずだとか、誰もが口を揃えて言うだろう。



けど、たったひとり。


火神さんだけは、否定することも見放すこともせず応援してくれて……。

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