S級イケメン王子に、甘々に溺愛されています。


「そ、それに。お豆腐屋さんと王子様って……ねぇ?村人と王子様って感じじゃない?」


「うんうん。そういうの釣り合わないって言うんだって」



知らなかったの?と問われて、たちまち悲しくなった。



椿のお父さんにも注意されたばかりなのに。


学校でも椿は一目を置かれた存在で、クラスの子達はいつも一歩ひいたところにいて、話しかける者はいなかった。



私なんかがそばにいてはいけないってことを、その頃の私はちゃんと知らなかったのだ。



言い返す言葉も出てこないまま俯いたその時、



「ダメなんかじゃないよ」


「……っ、椿くん!」



椿は迷うことなく私の隣に立つとそっと口を開いた。

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