夢の言葉と失われた追想【夢の言葉続編④】

「っ…!」

奥の部屋への扉が開いた瞬間。
不快感の元である臭いが一気に強まって、俺は思わず顔をしかめる。

モワッと漂う白い煙。
臭いの元は、タバコ。

部屋の奥にある立派な仕事机に片手で頬杖を着きながら、椅子に座った体格のいい白髪でオールバックの男性が、タバコを蒸しながらこちらを見ていた。


「……。」

その人物と遠目で目が合って、時が止まる。

今度は視覚に全てが集中したように……。
俺は白髪の男性から目を逸らせなかった。


「シャルマ様、お連れしました。」

”シャルマ様”。

案内係がそう口にした名前を聞いたら、まるで今まで鍵を掛けられていた宝箱が開かれたように……。
俺の失くしていた記憶の欠片が次々と、静かに合わさり始めた。

シャルマ。
この人物との再会が、俺の失われた追想を呼び醒す。

……
………。
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