【完】DROP(ドロップ)
《もっ、しもし!?》
「雫、寝てた?」
《う、、うんっ、ううんっ》
声で病気じゃない事はわかった。
事故……でもなさそう。
寝てただけ。
それだけだよね。
「あーあのさ。着替えを取りに戻って来たんだけど、見つからないんだよね。だから今から来れない?」
俺は本当に芸能人なのかな。
ドラマに出てていいのかな。
こんな棒読みの台詞で、よく月9なんて出れるよ、本当。
それ位に下手な嘘。
それでも、雫は
《すぐ行くね!》
そう騙されてくれたんだ。
“すぐ行く”
即答してくれた事が、嬉しくて携帯を握ったまま零れる笑み。
携帯に出た時、寝てただけってわかって。
メールをくれなかったのは、あの男のせいかな。
って頭を過ぎったけど。
来てくれるなら、いいよ。
それだけで、いい。