【完】DROP(ドロップ)
「昔から、仕事休みの時は来てるぜ?」
「そなの?」
「あぁ、昔みたいに頻繁じゃねーけど…って、おいっ」
秋人と壁の隙間を通り抜けVIPルームへと繋がる階段をあがった。
モデル時代、ココでよく奈央達と遊んだ。
だけど、モデルから成功する奴なんて、ほんの一握りで。
昔は表紙を飾ってた奴も、今じゃ普通の仕事についてる奴の方が多い。
そんな中、楽しかったあの頃を忘れられない俺は未だココに通ってるんだ。
昔の仲間は来なくなったけど。
そりゃ、仕事してたら時間的に無理だろうし。
芸能界に残った奴だって、今に溺れててココを忘れてる。
だから……。
少し古びたドアは重くて、これが懐かしさを感じさせる。
ドアを開けると、VIPルームとは言っても小汚い暗い部屋。
クラブ自体は、地下で。
1階はスタッフルーム兼、陸の部屋。
2階がVIPルームになっている。
ドアを開けると正面がガラスになっていて地下で営業さえているクラブが見える。
暗い部屋は、そこから飛ぶ光だけ。
L字型のソファの端に座る奈央は、正面のガラスから下を見下ろしていた。
「奈央?」
ゆっくりとVIPルームのドアが閉まり、声をかけた。
だから……。
ココに通っていた事が嬉しかったんだ。