理不尽

「大丈夫か?」

昨日の人が私に聞いた。

「大丈夫です」となるべく普通に応えた。

「ごめんな。すぐに行ってやれなくて。怖い思いさせちまったよな。」
わざわざそう言いに来てくれた。



「本当にありがとうございました」
出来るだけ事務的に、平常心を保っていられる様に。

本当は今にも泣き出したい。






私は悠長なことをしていた。このやり取りを睨み付けている人の存在に気付いていなかった。
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