無気力王子とじれ甘同居。
「ちょっと人酔いしたというか…乗り物酔いというか…」
「やっぱり無理してたんだ」
「いや、そのなんていうか…」
行けるわけないじゃん。
『ヤキモチ』焼いたなんて。
どうせ笑われる。
バカにされる。
「ねぇ、祐実」
「…なに」
今日はやけに、何度も優しく名前を呼ぶ松下くん。
逆になんだか怖いよ。
「一緒に入りたい…」
っ?!
「はぁ?!」
私はバスタブの端っこに体を寄せてくっつけると、体を隠す手を強くした。
「ダメだから!絶対無理!入ってこないでよね!バカ!変なこと言うの禁止!」
早く…冗談だよバカって笑ってよ…。
そうしないと…。
勘違いしちゃうよ。
「なんで?俺テスト頑張ったよ?」
っ?!
「意味わかんないし!松下くん、手を出さないって条件でここに住んでるんだよ?それなのに…いきなりキスしてきたり、同じ布団で寝たり…今度は何?一緒にお風呂?」
顔が見えないことをいいことに言いたいことを言う。
自分勝手な行動もいい加減にして欲しい。
どうせその時のテキトーな気分で言ってるくせに。
いちいちドキドキしたりイライラして振り回される私の身にもなってよ。
「……」
「私は元気だし、一緒にお風呂は入らないから」
「……うん」
そんな寂しそうな声で返事をしないでよ。
松下くんは、ゆっくりと脱衣所から出ていった。