無気力王子とじれ甘同居。
「そうだけど」
─────っ?!
一瞬、教室がピタッと静かになってから
「まじかよ!」
「どんな子なの、どんな子なの!」
「つーかなに!松下彼女いたのかよ〜」
「え、松下くん、女の人と住んでるの?!」
「彼女いないって噂じゃなかった?」
クラス中が一気にざわつき始めた。
…松下くん、なんでなのよ!
いつもはクールに無口を貫くじゃない!
変なとこ正直に話さなくたって!
「祐実、食べないの?」
お箸を持ったまま弁当にまだひとつも手をつけていなかった私に、あいちゃんが私の顔を覗きながらそう言った。
「へっ?!あぁ、食べる食べる〜」
必死に笑顔を浮かべてから、私はやっとプチトマトを口の中に放り込んだ。
口の中でトマトを転がしたまま、やっぱり私の耳は松下くんたちの会話に向けられる。