寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


 
 セレナはその言葉にどうにか笑顔を作って頷いた。
 クラリーチェの代わりなれなくても、テオと結婚したのは自分であり、抱かれるのも自分なのだ。
 女性からの人気は高く、耳にしたくない噂は多いけれど、テオは人を裏切ったり、悲しませたりする人ではないと、わかっている。
 それに、愛されていると錯覚してしまうほど大切にしてくれる。
 セレナはそれだけで満足しようと思い、テオへの想いを胸の奥にしまい込んだ。

「殿下……。優しく、してください」

 テオの首に回していた手をぐっと引き寄せ、テオの唇にキスをした。
 テオは、セレナからのキスに驚き、これ以上は待てないとでもいうようにセレナの両手を掴むと、シーツに縫い止めた。

「できるだけ優しくしてやるが、痛いはずだ。ちゃんとついてこい」

 そう言うが早いか、テオはセレナの唇に自分の唇を重ねた。
 貪るような深い口づけを合図に、その夜テオは、何度もセレナを抱いた。
 ベッドがきしむ音が、夜明け近くまで部屋に響いていた。


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