涙が落ちたあの日から
Prologueーあの夜の海ー
~埠頭に続くハイウェイざわめきの消えた海に~
耳に心地の良いイントロと、目を瞑れば情景が浮かんでくるような歌詞。
大好きなミュージシャン、『Moon』。
この人の曲を聴きながら、バイト帰りの家へ向かう道を歩くのが、私の日課だった。
駅近のカフェ・バーで働き始めて3年。
バイトが終わった22時前のこの時間、オレンジ色のネオンが輝く、海沿いを抜けて帰るこの道を通るのも、いつものことだった。
私、奥田るい。
動物専門学校に通っている、19歳。
夜バイトをして、昼間は学校。
1日がかなりハードだけど、同じカフェバーで働く、付き合って1年になる大切な彼が居て、充実した毎日だった。
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