涙が落ちたあの日から
*涙が落ちたあの日から
数日後。
ミュージシャンMoonが意識不明の重体と雑誌に載った。
それまで匡が意識不明で入院していることは、一切外には漏れていなかった。
あの女性記者に話してしまったんだから、きっと記事になるだろうということは予想していた。
あの女性記者が書いた内容……。
そこには、『不思議な出来事。愛する人を守るために現れたMoon』と題して、私が話したことが書かれていた。
「……」
愛する人……か。
匡にとって私はどんな存在だった?
匡にとって私は、必要な存在になれてた?
そんなこと、今はもう聞けないんだね……。
小さくため息をつくと、隣に立つ女性も同時にため息をついた。