エリート上司の過保護な独占愛
 ふと寝返りをうつと、枕の感覚が違うことに気がついた。『枕が変わったから眠れない』などということはないのだが、違和感でもう一度反対側に寝返りを打った。

 するとぐいっと身体が何かに引き寄せられる。

(何かっていうか……これは……)

 昨日の事を思い出して、パチっと目を覚ました。

「おはよう、沙衣」

 至近距離で目が合ったのは、まごうことなき裕貴である。一瞬驚いてしまった沙衣だったが、昨日のことを思い出し、今度は恥ずかしくなる。

「何、ひとりで百面相してるんだ」

 くすくすと笑う裕貴。その顔をみていると、昨日のことが現実だと実感できた。

 裕貴は恥ずかしそうにしている沙衣をもっと近くへと抱き寄せた。

「体、辛くないか?」

「あ、はい」

 裕貴の指先が、沙衣の髪を梳く。それさえも心地よい。言葉数が多いわけではない。それでもお互い、見つめ合って笑っているだけで幸せな朝だった。

 沙衣は抱き寄せられるまま、裕貴に密着して幸せな朝の余韻にひたった。胸もとには輝くネックレスと、裕貴の独占欲の印である、小さなキスマークを付けて。
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