エリート上司の過保護な独占愛

 半信半疑が顔に出ていたのを、絵美がするどく見抜く。

「私だって慎吾とのことは、すぐに上手くいったわけじゃないの。だからいろいろできることは試したの。その本、きっと役に立つと思うんだけどな」

 この手のマニュアル本が世の中に存在しているのは、沙衣も知っていた。しかし実際のところ、手に取る機会もなく今日まできたのだ。

 白地の表紙には、赤い糸をモチーフにしたイラストが描かれていた。それを指でなぞってみる。

「何からしたらいいのかわからないって言うなら、一度読んでみるくらいすればいいと思う。何もしないよりはマシでしょ?」

 たしかに絵美の言う通りだ。このままでは沙衣が一歩踏み出すころには裕貴は、すでに海外だろう。

「わかりました、とにかくこれ読んでみます。絵美さんありがとうございます」

 沙衣は藁にもすがる思いで、本を胸に抱きしめたのだった。
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