エリート上司の過保護な独占愛
「どうした? 急に」

 裕貴に顔を覗きこまれて、ハッと我に返る。少し迷った末に裕貴がユニヴェールの最初の担当だったことも手伝って、話をすることにした。

 いきなり仕事の話になったにもかかわらず、裕貴は口を挟まずうなずきながら話をきいてくれる。

「デザイナーさんが抜けて向うの生産量が落ちているので、うちへの発注が減少するのはわかります。他社のことだし首を突っ込むべきじゃないとおも思います。でもずっとお世話になっていた人だから、何か役に立ちたいな……っていう思いがあって」

 アシスタントがどうこうできる問題ではないことはわかっている。けれど気になって仕方がない……そういう気持ちを聞いてもらいたかった。

「そんなことがあったのか。上迫からは業績不振としかきいてなかったのだが、このことを知っているのか?」

「おそらくご存知ではないかと、私もたまたま耳にしただけですから」

「そうか、いや俺も深くは聞かなかったから。今日教えてもらえてよかった」

 おそらく裕貴の中でも思う所があったのだろう。何かを考えているようだ。しかしここでふたり悩んだところで、ユニヴェールの業績が上がるわけではない。
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