風の旋律



帰り、僕は施設を知られないように、いつも一人で帰る。



今日は携帯を手に持って帰る。


いつ三上さんからTELがあってもいいように。



きっと、一度出られなかったら、もうTELしてこなくなってしまうだろう。



メールも無視られたりして(苦笑





施設の玄関に着いたとき、丁度携帯が鳴った。



只今6:50。





『もしもし?』



「……上川君?」



『そうだよ。』



携帯を耳に当てたまま部屋に向かう。



駆け寄って来ようとした子供達を、人指し指を口に当てて制する。



「今、時間あるの?」



『うん。暇だよ。』




どうやら気を遣っているようだ。



“TELするから”なんてイキナリ言っておきながら、気を遣っている彼女がおかしくて、

笑いを堪えながら話した。






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