風の旋律
彼女の寂しそうな目に、なんだか吸い込まれて行く感じがして、思わず彼女に声をかけてしまった。




『三上さん。』





彼女は何も言わずにこっちを見た。





『三上さんは、文化祭回らないの?』




「……………」






やば………



ハズした?






でもこのまま会話を中断出来ない。



話しかけたのは僕だし。






「興味ないわ、文化祭なんて。」



彼女が急に口を開いた。




『興味ない?どうして?』




「高校の文化祭なんて、小学校の“お楽しみ会”や“発表会”と同じじゃない。
友達とつるんでギャーギャー騒いで…。
私、そういうの嫌いなの。」




『………』




「軽蔑したでしょ?」



彼女が哀しみ混じりに微笑んだ。



『軽蔑?どうして?』




「どうしてって…。
なにコイツ、文化祭の空気壊すじゃん!とか、性格悪っ!絶対友達いないよ!とか、思わないわけ?」









『三上さんは、自分の事、周りにそう思われてるって、考えてるの?』




「え………?」




『だから、空気壊すとか、性格悪いとか。
僕は全然そんなこと思ってないよ。三上さんには、そういう持論があるんだなって、そう納得するだけ。』




「…………」




『でも、もし周りがそう思ってるんなら、三上さんは、ラッキーだと思うよ。
だって、自分がこれからどうすればいいか、分かってるってことだから。』




「…………
変わってるわね、上川くんて。」





『そ…そう?』






変わってる………か………?









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