御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

「ほんとごめん。俺、サホちゃんを不安にしたくないからさ……。だからなんでも話して」

そのまますりすりと頬ずりされて、早穂子は恥ずかしくなりつつ、始の背中を抱きかえしたのだが――。

ふと、唐突にあることに気づいて。胸がずきりと痛んだ。

「でも、始さんは……何も話してくれない始さんは……どうやって自分を癒やすんですか?」
「え……?」

それは不意打ちのパンチのように、始の柔らかい部分を突いたのだと思う。
抱き合って彼の顔は見えないけれど、明らかに重ねた体から始の緊張が伝わってきた。

彼の言葉は、本当に憂鬱になるような内容なのかもしれない。
早穂子ががっくり来て、落ち込む様な内容なのかもしれない。
早穂子は幸せになれないのかもしれない。

でも彼の言葉がすべて真実だとしたら――。

「それほど深いあなたの傷は、どこに行くんですか……?」

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