御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
(勘違いしないようにしよう……)
いや、勘違いしているつもりはないのだが、ついいらぬ嫉妬をしているような気がする。
(山邑くんと親し気に呼べるのをいいな、と思うなんて、ちょっと中学生みたいだし……)
そもそも自分は、彼のことをまだ『副社長』とか呼んでいないし、始にいたっては早穂子の名前すら呼んでいないのだ。
(さすがに名前を知らないってことはないと思うけど……たぶん……)
早穂子はそんなことをあれこれと考えながら、また食器の陳列棚を眺めた。
「なに買うか決めた?」
何事もなかったかのように、ひょっこりと始が顔を覗き込んでくる。
「――あ、はいっ」
早穂子はうなずいて、しょうゆ差しとシリアルボール、お茶碗をひとつずつ手に取ってカゴに入れた。
「ひとつずつでいいの?」
「はい」
確かにいろんな柄や色があってあれもこれも欲しいが、使うのは自分ひとりだし、収納には限りがある。
「俺のぶんは?」
「え?」