美体
第五章~イケメンの正体~
 ー退院の日ー
 私は手足に力が戻っていた。そして、今までのこと全ての記憶が戻っていた。

「おはようございます。思いだしましたか?」
と悪い笑みを浮かべてハルが言った。その隣には、三人の男(執事)がいた。

私は意味が分からず、
「どういうこと?あなた達は誰?」

私がそういうとハルが
「とうとうこの時が来たようですね。」
と言い、

「僕達は一言で言うと"美体屋"です。」

「どういうことですか?」

「女優やモデルになりたい人を集め、責任を持って美しい体にすることです。」

私はその言葉を聞き、自分の体を見た。確かにモデルのように脚も手も細くなっていた。しかし、なんで私がモデルになりたいことを知っていたのだろうと思い、
「どうして、私がモデルになりたいこと知っているのですか?」
と質問した。

「それはですね…僕は一度、さほさんに幼い頃会っているからです。というか…よく僕と遊んでました。その時、聞いたんです。モデルになりたいことを…思い出せませんか?僕の本名は…浜中春夏(はるか)です…」

思いだした。春風は私の幼馴染みだ。私は、思わず、
「春風…久しぶりだね…」
私は、ずっと会いたかった春風に会えた嬉しさとなんでこんな形で会ったんだという気持ちで泣きそうになった。

「久しぶり…こんなことしてごめんね…ちなみに、僕の隣の三人は僕の友達なんだ。」

「そうなんだ。ううん…嬉しいよ…私のためにしてくれたんでしょ?」

「そう言ってくれると嬉しいよ…今度、また会おうね。」

春風にそう言われて、とても嬉しかった。
「うん‼」

春風と春風の友達に送られて、私は病室を出た。長い間あたってなかった風にあたり、いつも以上に気持ち良かった。





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