秘密の陰陽師 【肆】上
この何日間でどれだけ涙を流したか分からない。




目は赤く腫れ熱を持っている



するとコンコンと言う音がして誰かが部屋に入ってきた




ゆっくりと首を動かしてその人を見る。




「葵、目が覚めたのね」




そう言って優しく微笑むのはお母さんで。




「うん…」


お母さんの姿をみてさらに涙が溢れる



「あら、泣いてるの?」




そう言って私の頬に流れた涙を優しく拭ってくれる



そして静かに話し出す


「お母さんね、葵は陰陽師をやめてもいいと思ってるの。

今まで何もかも犠牲にして血の滲むような修行をしてきたでしょう?
今までの戦いだっていつ命を落としてもおかしくないものだかりだった。

病院で傷だらけで眠る葵を見てお母さんいつも後悔したの。

もう葵は苦しまなくていいの。

普通の高校生と同じように放課後は皆で美味しいスイーツ食べに行ったりお化粧の話ししたりして…そしていつかは結婚して子供を産んで、そんな普通の女の子の生活をしてほしいの。

葵は女の子なんだもん痛々しい傷は似合わないわ…

だからもう戦うのはやめよ?」




そう話すお母さんの目は赤く腫れていて。




涙を流した後だということがよく分かる。




そして、私のことを考えてくれてお母さんが出した答えは私が陰陽師をやめるということ




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