側婚


紅野結。13才。

夕食中。

『結』

『何?』

『今日家に男の子が来ていたっていうのは本当か?』

『……何で…知ってるの?』

『私がお父さんに話したのよ』

『お母さん……』

『彼氏なのか? 一番好きな男を見つけたのか?』

『…見つけてない……』

『どういう……事だ?』

『結。あの男の子は彼氏じゃないの?』

『うん……』

『彼氏でもない…一番好きでもない男と、2時間、二人っきりで、部屋にこもっていたと?』

『…勉強を…教えてもらってたからね…』

『勉……強?』

『結。彼と付き合ってみたら? わざわざ家まで来て勉強を教えてくれるなんてあなたに好意があるとしか思えないもの』

『ないよ……。彼、彼女居るから…』

『そうなの?』

『うん……』

『それでも…彼はお前を好きかもしれない……』

『……はっ?』

『彼に聞いてみたらどうだ?
自分の事をどう思っているのか…』

『…嫌だよ……。私は彼の事…一番好きじゃないし……』

『付き合ってみたら、一番好きになるかもしれないだろ!!!』

『…はい?』

『お前は一人っ子なんだ!!! 将来、父さんと母さんが死んだら、お前は一人になるんだ!!! だから、お前は必ず結婚しないといけないんだ!!! そのためには一番好きな男の子を探さないといけないんだ!!!
って…分かってるよな?』

『分かってるよ!!!

分かってるから…ほっといて……』
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