側婚
電話切られちゃった…。

切られた後にすぐ電話したけど、平太さん電話に出てくれない…。

《…分かった…》

大丈夫…だよね?

自分で帰るって、言ってあるし…。


《…どこの?》

《どこの…病院?》

《どこの病院?》


でも……。

平太さんだ……。

私は今居る7階から1階まで、階段を駆け足でおりていく。

平太さんは……。

良い人だから……。

「ハァ…ハァ…ハァ……」

私に何かあったと思って……。

来るはずだ……。

「ハァ…ハァ…着い…た……」

違う……。

必ず来る……。

私が病院の玄関まで行くと。

来た……。

平太さんが病院の玄関口から入ってきた。

「平太さん……」

平太さんは私を見つけると、すぐに駆け寄ってきて…。

「どうしたんだ?」

私の両頬を両手で包むと、右手で私のおでこを触る。

「熱はないな……」

「平太さん……」

平太さんは熱がないのを確認すると、また私の両頬を両手で包み、私の顔をじーーーっと見つめる。

「顔色は…良さそうだ…」

「平太さん……」

平太さんは私の顔色を確認すると、今度は私の頭から足まで見ていく。

「ケガはしてないみたいだ……。
一体…どこが悪いんだ?」

「私は…どこも悪くないですよ。
私は…大丈夫です……」

「どこも悪くないなら……。どうして病院に?
もしかして、帆乃日さんがどこか…」

「違います」
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