側婚
「帆乃日じゃなくて……」


「お義父さん。
大丈夫ですか?」

平太さんが心配そうに聞く。

「ああ。
見ての通り、ただの骨折だ。
心配しなくていい」

「心配しますよ。
家族じゃないですか」


平太さん……。

「確かにそうだが……」

「そうね。
心配するに決まってるわ。
平太さんは家族ですもの。
ね?」

お母さんが私を見る。

「何……」

お父さんと平太さんも私を見る。

「…当たり前…でしょ……」

…結婚したんだから……。

「フフ…」

お母さんが笑う。

「お母さん…。何で笑うの?」

「だって…」

「だって…何?」

「フッ…」

「お父さん…。
今…笑ったでしょ?」

「いや…」

「絶対、笑った…」

「ハハ…」

「平太さんまで……。
何で、笑うんですか!!!」

「ごめん……。
結がすごく照れてるみたいだから…つい…」

えっ…。

「照れるなんて…可愛い」

えっ……。

「何、言ってる!
可愛い過ぎるだろ…」

えっ………。

「ちょっと!!!

何で…分かるの?」

「「「ハハハハハハ」」」


「…いいよ。
病院に付き合わせちゃってごめんね。
うん。またね」

私は電話を切る。

「帆乃日さんですか?」

お風呂から上がってきたばかりの平太さんがタオルで髪をふきながら言う。

「はい。
何も言わずに先に帰った事を気にしていたみたいで…」

帆乃日は私が病室に戻る前に史人さんが迎えに来て、先に帰ったのだ。

「そうですか…。
じゃあ、僕は部屋に行きますね。
おやすみなさい」

「平太さん。

一緒に……。

寝ましょう」
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