側婚
別れましょう

『平太さん。

一緒に……。

寝ましょう』

そう平太さんに告げた私は今…。

平太さんの部屋で…。

平太さんのベッドで…。

平太さんの隣に居る…。

平太さん…。

気持ち良さそうに寝てるな……。

私は平太さんの寝顔を見つめる。

平太さん…。

何も聞かなかったな……。

『良いですよ』

平太さんはそう言って、いつもの笑顔を見せてくれただけで、理由は一切聞いてこなかったのだ。

突然、私が変な事を言って…疑問に思わなかったのかな?

疑問には思ったけど…聞いちゃいけないと思ったのかな?

聞いたら私はちゃんと答えたのに……。


『結、平太くんも、もう帰っていいわよ』

『良いよ。
私が残るから、お母さんが帰って。
平太さん、お母さんを家まで送って…』

『ダメよ!
明日、仕事でしょう?』

『仕事だけど、別に…』

『帰りなさい!!
平太くんと!!!』

『お母さん…』

『帰ろう。
結』

『平太さん…』

『邪魔したら…ダメだよ』

『…邪魔?
私が?』

『…俺と二人で居たいから!!
邪魔だから、帰れって事だよ!!!』

そう…なの?

『結……。
分かったなら、帰って…』

そうなんだ……。

『はい……。
帰ります……』

『じゃあ、僕達はこれで失礼します』

『ああ…』

『結!』

『…何?』

お母さんは私の所まで来ると

『平太くんの側に居るのよ…』

私の右耳に小声でささやいた。

『分かってるよ』

そんな事、言われなくても…。


『もっとよ……。
いつ、どうなるかなんて…。
分からないんだから……』
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