側婚

「なぁ…。
結達に…結婚式して欲しかったんじゃないか?」

「私?」

私が病室に入ろうとした時にお父さんとお母さんの会話が聞こえてきて、私はその場で足を止めた。

結婚式?

「ああ……」

「そうね…。私は……。
して欲しかったわね」

……えっ?

『私達、結婚式はしないから』

『そう。
別にいいんじゃない?』

そう言って……。

「なら、結が結婚式をしないと言った時、何で反対しなかったんだ?」

「それは、あの二人が話し合って決めた事だもの。
反対するわけないじゃない」

「でも、本当はして欲しかったんだろう?
なら、言うべきだろう……」

「何よ…。
あなただって、言わなかったじゃない」

…えっ?

「あなたも結に結婚式をして欲しかったでしょ?」

「それは……。
当然だろ…」


『あなたもいいでしょ?』

『ああ……』

そう頷いて……。

「可愛い娘のウェデイングドレス姿を見たいと思うだろ」

「あなた…結にウェデイングドレスを着て欲しかったのね」

「何だ…。
お前は違うのか?」

「私は結には白無垢が似合ってると思ってたんだけど…」

「白無垢でも似合うだろ…。
でも、ウェデイングドレスの方がもっと似合ってるはずだ」

「そう…。
なら、私も結婚式の時にウェデイングドレス着れば良かったな…」

「それはダメだ」

「どうして…」

「ウェデイングドレス姿のお前を見れば。
男達は俺からお前を奪おうとしたはずだ。
だから…ダメだ」

「あなた……」

「…結…来るの遅いな?
今日、来るって言ってたんだろ?」
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