イジメ.COM
「まず、今君たちに登録してもらったサイトを説明しよう」


立石先生がそう言い、黒板に大きく《イジメ.com》と、書いた。


「今登録してもらったサイトの名称だ。これからも、この名称で君たちにメールが届くから覚えておくように」


そう言ってチョークで黒板をコンコンと叩いた。


それはいつものように授業をしている立石先生と、なんら変わりはなかった。


「イジメ.com……」


あたしは小さな声で呟いた。


なんでこんなタイトルになっているんだろう。


「次に、このサイトからどんなメールが届くかを説明する。


このサイトから届くメールは個人へ向けて発信されるものがほとんどで、登録したからと言って必ずメールが届くとは限らない。メールが届いた人は、特別な人間なんだ」


立石先生は『特別な人間』という部分を強調して言い、教室内を見回した。


「メールが届いた人間は、メールの内容に従って動くことになる。


いわば、ミッションみたいなものだな。ミッションを期限内にクリアできれば内申書が上がる仕組みになっている。３年生になってから焦って就職先や進学先を探す必要もなく、学校側ですべて手配する」
< 8 / 235 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop