Sweet Love

第5章

 日曜。誠二先輩との約束の日、午前一〇時に駅前の噴水広場で約束をしていた。


 あたしは、残念なことに寝坊。あれもこれも全部、牧原のせいだ。


 昨日の夜、牧原との喧嘩が原因で、なかなか寝付けず、あまり眠れなかった。おかげでかなりの寝不足だ。


 愛香さんから頂いたお洋服を着て自宅を出たあたしは、無我夢中で駅まで走った。


 ヒールは一〇センチと高めだけれど、普段から履き慣れてるためか、走るのもそんなに苦ではない。


 駅の階段を駆け下り、急いで改札を抜ける。そのまま階段を下りてホームに出ると、そこには出入りする沢山の乗客で溢れていた。人混みの中を掻き分け、漸く地下鉄に乗ることができた。



 ダメだ。

 絶対、間に合わない。



 携帯の時刻を確認すると、約束の時間の五分前だった。



 メールしておいた方がいいかな…。

 でも今、地下鉄だし。

 でも、でも…。



 あたしは結局、



『ごめんなさい。少し遅れます。もう少しで着きますので待ってて下さい。すみません』



 と、本文を手早く作成し、次の駅に止まる頃を見計らって送信ボタンを押した。



 …ああ、人多すぎて酔いそう。

 しかも暑い!!



 急いでバッグからあぶらとり紙を取り出したあたしは、鼻の頭と額をそれで押さえた。


 待ち合わせの駅までは、あとふたつとなる。
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