Sweet Love
 それから間もなくして、誠二先輩からの返信はすぐにやってきた。



『気をつけて』



 相変わらず短いメールである。


 やがて目的地である駅で降りると、あたしは人混みに流されながらも地上へと駆け上がった。


 駅前の噴水広場はカップルの待ち合わせ場所としてはメジャーな所。


 あたしは、…カップルじゃないけれど。


 駅前だし、指定するにはわかりやすい場所だ。おそらく待ち合わせにはそこが最適な場所なのだろう。噴水広場に辿り着くと、やはり誰かと待ち合わせしている人の数が多かった。


 勢いよく流れていく噴水の水は、太陽の光に反射してキラキラと眩しい光を放っている。


 噴水を丸く囲った縁に座って、携帯をいじっている派手な女の子。そわそわとどこか落ち着きなく周囲を見回す大学生っぽい男の人。日曜なのにスーツの格好をしている男の人とOLみたいな女の人。無事に会えたカップルや友人同士。


 様々な人が溢れ返っている中、あたしは誠二先輩の姿を探していた。



 ……先輩、どこ。
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