Sweet Love
「――お、あったあった」



 萩原くんは、リュックから手を抜いた。何か握っている。彼は握っていた手を広げて、小さな四角い紙の包みをこちらへ差し出した。



 ――これは、キャラメル?



「これ、…わたしにくれるの?」



 萩原くんは頷く。



「もしかして、キャラメル嫌いだった?」



 わたしは、ふるふると頭を横に振る。



「ううん。結構好き」



 わたしが手の平を出すと、彼はその上に一粒のキャラメルを落とした。



「どうもありがとう」



 思わず、口元が綻ぶ。わたしは、キャラメルを手の中に軽く握り締めた。



「いいえいいえ」



 と、彼もすぐに破顔した。 


 
 ――あ、そうだ…お昼のお誘い!

 よし、今訊いてみよう。



「…萩原くん。今日一緒に、…お弁当食べない? ほら、牧原くんと、裕子も入れて四人で……」



 何だかどうしてもぎこちない言い方になってしまう。上手く伝わっただろうか。二人で食べたいと言っているわけではないから、きっと大丈夫なはずだ。深い意味として受け取ってもらうと、少し困る。不安に思いながら、萩原くんの次の言葉を待った。
< 70 / 199 >

この作品をシェア

pagetop