Sweet Love
「いいよ。四人で食べようか」



 彼は和らいだ顔を維持させたまま、すぐに頷いてくれた。了承を得ることができて、内心でホッとする。



「あ、ありがとう」

「…それより、食べたら?」



 萩原くんが、キャラメルを握り締めているわたしの手元を指差す。



「あ、うん…」



 わたしは包みを開き、それを口の中へ放り込んだ。強くて甘いキャラメルの味が深みを増して、口の中で溶け合う。



「キャラメル柔らかくなってる…」

「だって石田さっき、…握ってたじゃん」

「うっ…」



 それはそうなんだけれども。


 でも変に思われたりしないか心配だったけれど、誘って良かったかも知れない。誘ったら萩原くん嬉しそうだったし、ちゃんと言えて良かった。


 それからはわたしの緊張も徐々に解けていき、萩原くんとの会話も弾んだ。今までにないくらい沢山の会話を交わした。彼と歓談している間、バスはいつの間にか現地に到着していた。
< 71 / 199 >

この作品をシェア

pagetop