君の笑顔にもう一度逢いたい
コタローは制服姿だったから、
私も制服のままウチを飛び出した。
当たり前のように手をつなぐ私たち。
公園はウチから歩いて5分もかからない。
テクテクと歩いていると、段々と桜並木が見えてくる。
昨日あたりから桜はボチボチと散り始めていて、
道路は一面ピンクのじゅうだんになっている。
それを踏みながら、私たちは進む。
「ねーセンパイ」
「ん~?」
桜を眺めながら、私はぼんやりと返事をする。
「オレのことどう思ってる?」とコタロー。
この質問、何回めだっけ。
「かわいい後輩」
そのつど、私はこうやってはぐらかす。
コタローに、
自分自身に。
「それだけ?」
「コタローは?」
「わかってるクセに」
「わかんないよ?」
「好き」
「……ありがと」
コタローとこの関係が崩れるのがイヤで答えなかった。
いつもいつも。
コタローが明日もあさってもその次の日も、
ずっとずっととなりにいるって思ってた。
だから、この関係が崩れることがこわかった。