ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく
それから数日が経って今日は仲間たちと学校をサボって日中から遊んでいた。そして夜には花火大会に行くことになって、わりと有名な祭りごとでテレビ中継もされるほど。
一旦解散して、またみんなと涼しくなる夕方に待ち合わせすることになった。
さて、俺はそれまでどう暇を潰そうか。
『世那、映画でも見に行こうよー!』
そんな時に限って安田が一番に声をかけてくる。
『行かねーよ』
『えー、私世那と行こうと思ってチケット2枚取ってって……世那どこ行くの?』
まだ安田の話が終わってない中、俺はスタスタと歩きだした。セミの声がやたらと耳に残る。どこで鳴いてるのか、どこに潜んでいるのか。姿を現さないくせに自分の存在をやたらとアピールしてくる。
と、その時。ポケットの中でスマホがバイブしていた。
確認すると着信は2件。親父と母さんから。電話に出なかったからか今度はメールが届いていて、これまた画面には同じ文面が並んでいた。
【今日の夜は家に帰ってきてください。ちゃんとこれからのことを話し合おう】
もちろん俺は返信をしないで、再びスマホをポケットの中に入れた。