ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

いつの間にか辺りは暗くなっていた。

詩月はあのあと散々泣いて。自分の家の場所を愛しそうに見つめたあと凛とした表情で立ち上がった。

その顔があまりに綺麗で、見とれそうになったなんて絶対に言わない。


「羽柴」

東和田市から電車に乗って私の住む街に帰ってきた。お互いに話し合ったわけじゃないのにゆっくりと歩いて、ちょっとだけ遠回りをしながら帰っている。

「ありがとな」

これで何度目だろう。電車に乗ってる間もずっとお礼を言われてたからもう数えてない。

「これからどうするの?」

「うーん。少しずつ過去に出逢った人たちにも会いにいきたい。もちろん迷惑をかけたり悪いことをしてしまった人にも謝罪したいし」

「おばあちゃんにもまた会いにいかないとね」

「うん。母さんが謝ろうとしてたこともちゃんと伝える。俺のことが分からなくても昔のことを覚えていなくても、きっと心には残ると思うから」

なんて晴れ晴れとした顔なんだろうか。

これがきっと本当のきみ。

過去を切り離すことは選ばない。すべてを受け入れて過ちも弱さも学んで。そして強さを育てていく。
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