ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく

視界が歪んでうまくご飯が食べられない。

なんでなの。胸が締め付けられるようにうずく。

気がつくと私は勢いよく椅子から立ち上がって、教室を飛び出していた。廊下から見える窓の景色がまるで新幹線のように早い。

階段を一段飛ばしで駆け下りていく中でも校内では詩月の声が響いていた。

『お互い本当の自分を見つけて、話す機会も関わる機会も減って。だけど俺はずっとその子のことばかりを考えていて』

早く、早く、詩月の元まで早く。


『なあ、羽柴。俺は……』

――ガラッ!!

放送室にたどり着いた私は息を切らせてその扉を開けた。マイクの前に座る詩月を見てまた胸がドキドキとする。


「……ハア……なにこの放送……みんなに丸聞こえなんだけど!」

私の言葉を聞いた詩月は少しだけ微笑んで、校内放送のスイッチをOFFにした。

「焦った顔が見てみたくて」

「バカじゃないの……」
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