虹の翼


「虹…ですか。」

「―あぁ。今、最も翼の色が多色なのは魔術師団のクエリー団長。彼女は雷の黄、風の緑、水の青、回復の白。これは帝国史5000年史上初の事だった。」

(俺が、塗り替えてしまった。)

「お前はどうしたい?ケイオス。この事実があれば神殿に入ることも出来る。」

「いえ、神殿には入りません。私は皇位継承権第一位であり、民を導くのは私の使命です。」

(それに、頼まれたからな、あの神、と名乗る彼に。)

__ぼくのいとおしいこの世界を守っておくれ。


父がまだ何か言いたそうだったけど、この場に似合わない異音が俺の掌からした。

__ピシリ、

「卵、孵りそう」

卵の内部から柔らかい光が溢れた、と思ったら殻が魔力となって空気に溶けた。

中の雛は頭は蒼で羽の先や脚は黒の綺麗なグラデーションだった。


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