【続】清華魔法学園〜未来選択編〜
*****
そうして紗久は今、俺の目の前で生きている。
俺の望み通りに。
「………」
この世界の真相を話し終えた俺を黙って見つめたまま、紗久はいろいろな感情の混じった表情を浮かばせた。
戸惑い、悲しみ、苦しみ、怒り。
思うことはたくさんあるのだろう。
でも……
「紗久が望んだ世界はみんなが幸せになれる世界だろ?この世界だって充分その望みを叶えているはずだ。紗久が見てきた世界よりもこの世界は暖かく、誰もが幸せに生きている」
これが1番だろう。
確かにこの世界は偽りの世界かもしれない。
それでもこの偽りの世界で人類は全てを忘れて、幸せな世界を生きているのだ。
ポンッ
紗久の頭に優しく触れながら俺は続けた。
「紗久だってこの世界でならこれからも生きていける。この世界が1番幸せな世界なんだ」
「……お兄ちゃん」
紗久が泣きそうな顔になる。
何でそんな顔してるんだ?紗久。
俺はただ、お前に笑顔で生きていてほしいだけなのに。