ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

崇さんは2週間だけ来てくれる家政夫だ。


それが終われば会うこともない。


何を気にすることがあるんだろう。


そう思うと同時に、なぜだか胸が痛んだ。


あと2週間だけ。


そのことに寂しく感じる自分には目を背け、私は答えた。


「崇さん、特に好き嫌いはないです」


「え、でも、嫌いなものはなくても、好きなものはあるだろ?」


笑みを浮かべながら、首を振った。


「好きなものもありません」

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